「美香子……。」










私は美香子について、屋上の階段を上っていった。一段、また一段と上がっていくにつれて、身体が重くなっていっているのが分かった。







最後の一段を私が登り終えたとき、美香子が屋上へ続く錆びたドアを音をたてて開けた。そこに広がっていたのは、雲ひとつない空。太陽が眩しくて目を細めた。







屋上の真ん中まで私たちは一言も言葉を交わさなかった。真ん中にさしかかったとき、美香子が長い髪をなびかせ、私のほうを振り向いた。











「修二と別れたんだってね。」










「うん……。」










「私の気持ちを知ったから??」









「……。」









カッとした美香子が私の胸ぐらを掴んだ。はたかれることを予想し、目をつむった。そのとき、私の頬に冷たいものが落ちてきて、びっくりして目を開けた。