「ゆっ…じゃない
山本!!!!!!」
頭上から藤代先生の驚きの声
情けなく通路に倒れ込んだ私は
お願いします
かみさま
どうか私を消してぇ――――
恥ずかしいよぉっ
「だっ、大丈夫か?」
先生が私に手を差し伸べて
「す、すみません」
大きな先生の手を借りて立ち上がる
なんか初めて会った時みたい
膝をポンポン払ってから
「お、お帰りなさい。先生」
精一杯の笑顔を先生に向けたけど
顔はすごく熱くて口の端が引きつった
眉を寄せて藤代先生は
「な、何があった?」
「ゆ、夕食の買い物にスーパーへ」
「こんな時間に?
もう暗いよ?」
「はい。大丈夫ですから」
お帰りなさいが言えても
計画は丸つぶれだ
先生の前でコケるなんて
あり得な~~~~い
早く、この場を去ろう……
「じゃ、失礼します」
頭を下げて先生の横を通りすぎようとしたら
「待って
買い物って夕食の材料だけ?」
先生が私を引き留めた
「はい」と うなずいたけど
本当は買う物なんてないんだ
先生と一言でも話したいから
口実に使っただけ



