ファミレスからカラオケに流れて



帰り道についたのは


9時を過ぎてた



修ちゃんと並んで歩く道の先には満月が輝く夜空が広がってた



「今日はお疲れ様でした」


私が軽く頭を下げると


「いえいえ
おかげでアドレスが豊富になりました」


ケータイ片手に修ちゃんは笑った



満月を見つめながら


「もっと家に顔を出してよ、キッズ」



「うん。今度、行く」


「キッズの今度はあてにならない
来ないならオレがキッズの部屋に行くよ?」


「いいよ?いつでも、おいでよ」



私が言うと修ちゃんは立ち止まり



困ったように笑って


「…そう、
あっさり言われちゃうとね……」



「え?」



「…なんでもない
早く帰ろうか。キッズ」



修ちゃんが早足になったから



私は駆け足で修ちゃんの背中を追った






いつでも、おいでよ


私の何気ない一言が


修ちゃんの心に棘を刺したなんて



気がつかないで