藤代先生と離れて


本当は少し心配だった


寂しくて寂しくて泣いてばかりの自分にならないか




だけど私の毎日は流れて行く



新しい環境に慣れるのに忙しい



ご飯はちゃんと美味しいし


夜もちゃんと眠れ


朝もスッキリ起きる



藤代先生のことは毎日想う



彼の幸せをいつも願う



その想いと願いが私の支えで
前向いて生きて行けるんだと
わかる






3月の中旬


朝見た天気予報どおり
昼過ぎから雨が降ってきた



学校帰り、駅から傘をさし
家に帰る道



結構な雨の量でアスファルトには もうすでに薄く雨水がたまってる



近道になるから いつも横切る近所の公園


雨に濡れたブランコもシーソーも少し寂しそうに見える


地面はすっかり雨でぬかるみ
靴の汚れを気にしながら
通りすぎたベンチの下から



「きゅーん、きゅーん」



か細い鳴き声が聞こえて



「えっ?」と立ち止まり
ベンチの下をのぞいた



茶色い毛のポメラニアンに似た子犬がぶるぶる震えていて



「わあっ!キミどうして、ここにいるの?」


傘を肩にかけ、ベンチの下に手を差し出すと


子犬はペロッと指をなめた