作業台でお弁当を開くと
「お~。すごいなぁ」
先生は目を見開き呟いた
「ご飯が赤い」
「梅ご飯ですけど嫌いですか?」
「いや、好きだよ」
好きだよ
どっき―――――――ん
……って梅だよ、梅
梅が好きなの
なんで いちいち 先生の言葉に反応するかなぁ私
「きんぴら、美味しいな」
私の作ったお弁当を食べて喜んでくれる先生
………頑張って良かった
私も食べよ…………
あれ?
でも先生 奥さんいるんだよね?
………迷惑だったかな
お弁当を食べる先生の横顔をチラッと見て
「先生」
「ん?」
「迷惑だった?」
「なんで?」
「だって、奥さん」
「え?」
「奥さん怒らない?」
私が
おずおずと上目遣いで訊くと
「あ~」と先生は呟いて
「ど~かなぁ?怒るかな?」
遠くを見るような目をして
「山本がオレの奥さんの立場なら怒るかい?」
「え?」
なんで私?
でも 先生が私をじっと見て
答えを待ってるから
「ん~。表面上では普通にしてるけど、内心スッゴク嫉妬する…かな」
ふっ………て先生が笑って
「そっか、そっか」
そう呟いてまたお弁当を食べ始めた



