「冷えただろう?絆」
車に戻ると先生はエンジンをかけエアコンを強くした
またFMラジオから
洋楽が流れる
今度は聴いたことのある物だ。
曲名は忘れたけど
なんかの映画の主題歌
「…………」
先生は何かを言いかけて
だけど、「……ふぅ」とため息をついて目を閉じた
固く目を閉じ、先生は《何か》の決心をしようとしてる
先生の身体から漏れる緊張感に
私の心臓もキュッと縮まり
すっかり冷えて感覚を失った靴のつま先に視線を落とした
「実家に帰ったんだ」
意外な言葉から始まった先生の話に視線だけ そちらに向けた
先生はしっかり目を開いて
迷いは
もうどこにも感じられない
「絆に話したかな?
結はずっと施設で育って
親も身内もいなかったって」
私がうなずくと
「オレの両親は身元がはっきりわからない結を嫌ったんだ
それで結婚を反対されて
もちろん、説得はしたけど
結が高校を卒業するまで
時間もなくて………」
高校を卒業したら施設は出なくてはならない
先生はどうしても結の卒業と同時に結婚したかった
先生は苦笑いをして
「オレも若かったんだよなぁ
つまらない事にこだわる親が
だんだん憎くなって
結局、縁を切るって形で
家を出て、結と結婚したんだ」



