Strawberry on the shortcakes




国道から小さな道に入り


草むらの前で車を止めた



枯れた草の向こうに
砂浜が広がる



暗くて海は見えなかったけど


エンジンを止めると確かに波音が聴こえた



「………降りてみる?」



先生の言葉にうなずいて


車を降りると




ビュオォォォォォォ――……




ものすごい風に髪が舞い
両手で押さえた



先生が風の音に負けないように大きな声で


「やっぱり風すごいな
車に戻ろう!」



だけど、私は首を横に振り



「イヤッ!
ここまで来たんだもん!
ちゃんと海、見るっ!」



枯れた草に足が絡んで


何より一歩一歩


足に力を入れなければ


強風に吹き飛ばされそうだった



草を抜けると砂に足を取られ
よろけた私の腕を
先生がしっかり支えた



「…ありがとうございます」



お礼を言って見上げると


先生は真っ直ぐ
漆黒の海を見つめてた



ゴォォォォォォォ……


風の音だけが鼓膜に響く



耳も顔も指も
靴を履いたつま先も


寒いを通り越して
切り刻まれるように痛かった



だけど、
切り刻まれるような痛みも
まだ足りない



もっと、もっと、もっとだ



 先生を


きっと最後になるだろう


 今を


この時が
永遠に消えないように


身体に心に残るように