Strawberry on the shortcakes





ルウを溶かし、ふたをして


あとは時折まぜながら
少し煮込むだけ



カレーのいい匂いがする中



キッチンには換気扇の音がやたらと大きく聞こえた



「先生」


私の声に先生は視線を返す



何をどう言えば
わからないまま


私はグツグツ煮立つ鍋を見つめ口を開いた



「先生、私つらかったです」


先生はただ黙って
私の話に耳を傾けた


「先生から結の話を聞いた時も
私、つらかった

だけど、
どこか嬉しかった気もします

先生の誰にも見せない部分に触れたような

先生に近づけた気持ちも絶対にあったから」


そこで一度、カレーをおたまでかき混ぜ鍋にふたをした



湯気で少し手が湿った



「後夜祭で先生に振られて

それからは本当につらかった

想いが届かないことも

先生のために何も出来ない自分の無力さも


何より、恋を終わらせることが出来ないことに

失恋したからって
想いは消えないし


私の失恋と奥さんを亡くした先生の気持ちは違うと思うけど

前に、次に進むことが
こんなにも難しくて
つらいことだって……

私、やっとわかった」



泣かないで言いたかったのに


私の目からは ポロポロ涙が溢れて



止まれ、止まれと思うほど


もっと泣けてきた