グツグツ煮立つ鍋の湯気で
すごく湿度が高く感じる
ふと先生が
「なぁ。ジャムって、どのタイミングで入れるの?」
………どのタイミング?
ジャム入りカレーを作ったのは
夢の中
はっきりと覚えてるわけもなく
レシピがあるわけでもない
「……えーと」
返答に困ると
「ルウを入れる時かな?
それともルウの後か?」
「いや、ルウの前だよ!」
「その自信はどこから?」
「………インスピレーション」
ぶっ、と先生は吹き出して
「あはは、直感かよ」
あまりに笑うから
「笑わないでよぉ、もうっ。
ジャム入れちゃいますね」
頬が一気に熱くなって
ジャムのびんに手を伸ばし
ふたに手をかける
だけど、固くて なかなか開かない
う~ん、って頑張ってると
スッと先生の手が伸びてきて
私からびんを取り
かぽっ と簡単にふたを開けた
「ん」ってふたの開いたジャムを差し出す先生から受け取り
これじゃあ、あの時に見た夢と同じだなと思った



