駅で待ってた
他校の子っていうのは
男子3人で
人数合わせで誘われたことに
気がついて
カラオケに向かう道では深い後悔に襲われた
それでもカラオケでは
一応 楽しそうに
飲んだり食べたり歌ったりして
途中、トイレに部屋を抜けると
男の子1人が後を追って来た
部屋が並ぶ通路で
呼び止められて
「絆ちゃんって彼氏いる?」
そう訊いてきた
一重まぶたの大きな目
あごに
治りかけのニキビがあって
全身から何かを求める
期待に満ちた匂いを
立ちのぼらせる
学ラン姿の男の子
無意識に比べてた
先生とは全てが違う
この男の子は私と同じ子供だ
「…………絆ちゃん?」
いつまでも
何も言わずにいる私に
彼は怪訝な表情を浮かべた
「いないよ、彼氏なんて」
私が答えると ほっとしたように表情を緩ませ
「じゃあ、ケータイ教えてよ」
何が『じゃあ』で
どうして『ケータイ』を教えなきゃいけないんだろう
「ごめんね?
最近、変な電話とか来るから
明日、番号変えるんだ
だから、教えても意味ないから」
早口で言って
彼が何かを言う前に
歩き出しトイレに駆け込んだ



