修ちゃんが行ったあとも
しばらく立ち上がらずに
ひざを抱えて座る私の前髪を
夜風がそっと揺らした
瞬きをした まぶたの裏
浮かぶのは あの部屋
時を止めた先生の部屋
後夜祭が始まったんだろう
校庭からは音楽と花火の音、明るい歓声が聴こえる
―――――行かなきゃ
すくっ と立ち上がり走り出す
先生は今もひとりでいる
どこにも行けずに
立ち止まってる
校舎の廊下の天井
規則正しく並ぶ蛍光灯の下
ひるがえるスカートを気にも止めず駆け抜けた
化学準備室の前で足を止め
一度、呼吸を整えてから
そっと静かにドアを引いた
窓の外に広がる夜の方が明るい真っ暗な部屋の中に先生の背中が見えた
ドアを後ろ手に閉めて
そのままドアに寄りかかると
こちらを振り返らず
窓の外を眺めたまま先生が
「花火はいいのかい?
――――――絆」
ドキン……
「………よく私だってわかりましたね」
「………うん。キミの気配は何となくわかるよ」
その言葉に泣きそうなくらいの喜びが胸に広がった
胸が詰まって視線を下ろし
上靴のつま先をじっと見つめた



