日も暮れ、青い闇が茜色を西の地平線に追い出そうとしてる頃
修ちゃんからメールが来た
》非常階段で待ってる
少し錆び付いた非常階段
2階と3階の間の踊り場に
修ちゃんは
長い足を伸ばして座ってた
私を見て
「おう」と片手を上げたから
「おう」と片手を上げ返して
修ちゃんの隣、
ひざを抱えて座った
「お前な、途中退場は失礼だよ」
ふいに修ちゃんがいったから
「え?」って聞き返すと
「最後まで聴けよ。お前のためにギターかき鳴らしたんだから」
「……私に…気がついてたの?」
「オレはお前のことなら
どこにいたって見つけられる」
はっきりと言い切ったから
私は何も言えなくなった
「はぁ……」って一度 吐いた修ちゃんの息が
始まったばかりの夜に
溶けていく
私は抱えたひざにあごを乗せ
固くまぶたを閉じ
修ちゃんの言葉を待った



