校舎の4階の隅にある
空き教室に入る
誰もいない教室は
学祭で賑わう周りから
切り離されてるみたい
窓際に椅子を持って行き
頬杖ついて外を見つめた
青い空
柔らかく降りそそぐ陽射し
ここから見える中庭で
ひとりでいる人はいない
彼氏だったり彼女だったり
友達だったり
みんな楽しそうに
何かを話したり
慌てた様子で段ボールを持って運んでたり
ねぇ先生
先生には いるのかな……
例えば、季節の移り変わり
もう春だ もう夏だ
秋だ、冬だと話す人
暑いや寒い、晴れだ 雨だと
一緒に空を見上げる人
毎日感じる小さなことを
何気なく
話して聞いてくれる人はいる?
何もなくても
急に寂しくなった時
話を
聞いて欲しい人はいますか?
ただ うんうん と うなずいて
先生の手を握ってくれる人
ねぇ先生
先生は そんな人を求めることを放棄していない?
人は
ひとりじゃ生きて行けないよ
先生はちゃんとわかってる?



