学祭の朝
マンションのエントランスを
1人で出て
見上げる薄い水色の空は
どこまでも高く
弱く吹いた風は
ひんやり冷たく乾いてた
教室にはネコ耳付けた
ピンクのメイド服の男子と
ピシッと黒いベストとパンツを決めた女子
私はと言うと
クラス全員の名前が背中に入ったクラスお揃いの赤いTシャツに制服のスカート
カーテンで仕切られた教室の後ろでドリンク係に徹する
ケーキセットを受け取りに来たメイド男子が
「山本、
なんで執事やんねぇんだよ~」
オレだってこんな格好恥ずかしいんだぞっとフリフリのスカートを摘まんだ
「私はいいの。ケーキセット、さっさと運んで?」
「へいへい」
男子がカーテンを捲り
向こうへ出て行く
フワッと揺れた
カーテンを見つめながら
「表に出るような気分じゃないんだよぉ」
独り言を呟いた



