私がぶつかった衝撃で
チェストの上の写真たてが落ち
カシャ…ン
ガラスがフローリングの床に
散らばる
倒れた私を
呆然と修ちゃんは見つめ
先生はすぐ私に駆け寄り
床にひざをつけ抱きかかえた
「大丈夫か?」
先生の腕の強さを
肩に背中に感じながら
「大丈夫…
先生、破片落ちてるから
足、気をつけて………」
私を抱いたまま先生は
「宇佐美、お前、どうして
腹がたつのはオレにだろう?
どうして彼女に手を……」
修ちゃんは小さく首を横に振り
自分が今したことが信じられないみたいな顔をしてた
先生はそんな修ちゃんを
じっと見つめてから
「山本、もう帰りなさい」
「………え?でも、先生…」
視界の端にダイニングテーブルの とんすい と れんげが映る
きっと もう食べられた物じゃないだろうお粥
作り直して先生は薬を……
「もう大丈夫。
ありがとう、山本。
今日は助かったよ」
先生が私にお礼を言うと
今まで感じてた親密さが
消えてなくなっていくようで
哀しくなる
うつむいた私に
そっと先生は耳うちした
「オレは大丈夫…
絆はそばにいてくれた
優しい人の気持ちを
考えてあげなさい」



