ふと 化学準備室の窓が目に入る
窓からは校庭と非常階段が見えた
カァァァァァァァァァ………
お昼ごはん食べる友達もいないと同情された事が恥ずかしくて
顔が熱く、涙が込み上げて来てうつむいた
「ここで食べて行きなよ、山本
……そしたら、いい事あるぞ」
――――――――いい事?
チラッと藤代先生の顔を見ると
「山本もついてるなぁ」
藤代先生は立ち上がり
部屋の隅に置いてある冷蔵庫の扉を開けて
「今日はデザートにケーキがある」
ケーキ箱を私に見せた
「ケーキ?」
「ショートケーキのイチゴは好きですか?」
「………1番、好きな物です」
私の言葉に
「良かった」
藤代先生は
ホッとしたように笑った
その笑顔が可愛く感じて
さっきの不思議な質問も気にならなかった
――ショートケーキのイチゴは好きですか?
普通なら
――イチゴのショートケーキは好きですか?
そう訊くんだ
彼は 私が ショートケーキのイチゴが好きであって欲しいから
不自然な質問をしたんだ……



