よいしょってソファーから立ち上がる先生に
「出来上がったら寝室ノックします。絶対、入らないから」
病院に行く前に先生が言った
この部屋には入ってはいけない
「あぁ……そうだね……
でも、いや、もう…いいか」
独り言みたいに言って
先生は寝室のドアに手をかけた
「あ、先生」
「ん?」
初めて先生は私を振り返り
目があって少しドキッとした
「卵と梅干しどっちにします?」
「ああ」
先生は爪先に視線を落として
しばらく間をおき
「ジャム入りカレーが
食べたいなぁ」
ジャム入りカレー?
「ははっ。なんてね……」
「先生!
カレーにジャム入れるの?」
「え?」
「私、今日ね、先生にイチゴジャムが隠し味のカレーを作る夢見たんだぁ………」
って言ってから しまった と思う
私は先生の夢を見ますって宣言したような物だよ
好きだってバレちゃうよぉ
恥ずかしいっっ
恥ずかしさに うつむくと
長い長い沈黙が流れる
あれ?先生?
そぉ~っと視線を上げると
今にも泣き出しそうな顔をして立ち尽くす先生がいた



