病院からマンションに帰る
マンションの通路を歩く先生の背中は病院に行く前よりは楽そうに見えた
点滴が良かったのかなぁって部屋の鍵を開ける先生の後ろで思うと
ドアを開きながら
先生が私を振り返り
なんだか
困ったような表情をした
「………なぁに?」って訊くと
「いや、なんか『ただいま』って言いそうなくらい自然にキミがいるから」
開いたドアを押さえて私を見つめる先生を
軽く押し退けて
「ただいま」
元気よく言って先生より先に部屋に上がった
私の後ろに続いた先生を振り返りはしなかったけど
苦笑いしてるに違いない
とりあえず、
今は看病が1番だよ
脱衣場の洗面で手を洗い
リビングのテーブルに薬の袋を置いて、ドサッとソファーに座った先生に
「薬飲む前に
何か食べてください
今、おかゆ作りますから」
キッチン借りますよって
もうキッチンのシンクの前に立って言うと
「もう、いいよ
大丈夫だから」
疲れたような先生の声
私は聞こえないふりをして
「出来上がるまで
休んでてください」
はぁ~って深いため息ついて
観念したのか先生は
「わかった」って呟いた



