藤代先生に連れられた場所は
――――化学準備室
部屋の中央、黒い天板の作業台にある
水色の丸椅子に座るように うながされ
おずおずと座る
な、なんだろ……………
ドクドク………
不安で心臓が痛くなる
先生に呼び出されるなんて
私 怒られる?
「これ」
藤代先生は私の隣に座って
ハンカチを差し出した
「ありがとうございました」
そう笑う藤代先生からハンカチを受け取る
あ、初めて会った時に
貸したハンカチ
「わざわざ、ハンカチのために?」
私が訊くと
先生は うなずいた
そっか、怒られないのか
それも そうだ
私 なにも悪いことしてない
立ち上がり
「それじゃ失礼します」
軽く頭を下げてドアに向かおうとすると
「待って」
藤代先生が引き留めた
「え?」
座ったまま頬杖ついて私を見上げる藤代先生が
「ここで昼飯、食ってけば?」
「……………え?」
もしかして藤代先生
私が毎日 非常階段でご飯食べてるの知ってる?



