修ちゃんに肩を抱かれ
部屋に入り
リビングのソファーに座る
涙が次から次へと流れ落ちて
止まらない
顔を両手で覆い
視界が全て遮られると
暗闇に浮かぶのは
慈しむように
胸元の指輪を見つめる先生
そして
私を子供と言った
平然とした先生
さっきの光景が映画のシーンみたく頭の中
繰り返し 繰り返し
思い出されて
グシャッ グシャッて
音をたてて私の胸を潰し
粉々に砕いていく――――――
泣きじゃくる私に
修ちゃんはダイニングテーブルにバッグから出したタッパーを並べながら
「あんな、オッサンのために
お前が泣くなよ」
その言葉を聞いたとたんに
哀しみで埋め尽くされた心の奥からヒリヒリとする怒りが込み上げた
涙で濡れた手を顔から離し
「………なんで、
あんなこと言ったの……?」
ダイニングの方を振り返って
修ちゃんをにらみ
「先生にっ
なんで、あんなこと言ったのよ!」
自分の甲高い怒鳴り声が
キーンと鼓膜に響いて
より胸を痛くした



