Strawberry on the shortcakes




だけど、修ちゃんは だんだんと表情を険しくして



「危ないだろ!
独身の教師と一人暮らしの生徒が隣なんてっ!」



修ちゃん?
何を そんなに怒ってるの?



修ちゃんの剣幕さに
少し怖くなると



「ふぅ」って先生が小さくため息を漏らして



「宇佐美。
オレは独身ではないよ?」



――――――――ズキッ


独身ではない


先生の言葉に胸が痛んだ



「オレの妻は亡くなったけど
オレは独身ではない」



先生はそう言って自分の首元に手を持って行き



Tシャツの襟元の中からチェーンを摘まみ上げた



それまで私は先生がネックレスを付けていた事に気がつかなかった



先生が摘まみ上げたチェーンには
指輪が2つ付いていた



大きい指輪と
小さな指輪



チェーンを摘まみ上げた左手の薬指には指輪はない



「これは、結婚指輪だ。
オレと妻の」



先生は伏せた目で慈しむように寄り添う2つの指輪を見つめ


「妻が亡くなってから
この指輪はオレの胸で
いつも ふたり くっついてる」



優しい優しい目を


先生はして



「いつも ふたり どんな時も
一緒なんだ」って言った