絆と出逢い
言葉を交わすうち
オレの心に
明らかな変化はあった
絆と話をした日は
家で真夜中、
テディベアの絆を抱きしめ
何度も何度も繰り返し
結のビデオテープを観る
『柊ちゃん』
画面に映る結は
大人だったり子供だったり
朝が来るまでオレは結を見つめ
その甘い優しい声に耳を澄ます
絆と話せば、淋しくなる
どうしようもなく淋しくなる
どうして自分は今 一人なのか
結が恋しくなるんだ
もちろん、結が亡くなってから
毎日、淋しいけど
それでも
結が遺してくれた
思い出は優しく
どうして自分は今一人なのか
なんて
後ろ向きな嘆きにも似た感情を
オレが持つこと なかった
結と同じ姿のあの子が
オレの心を乱して行く
でも
「わかってるよ」
言われなくても わかってるよ
宇佐美
オレと絆の行く道が交わるところは1つもない
ただ気紛れに別れを前提とした付き合いを絆とは出来ない
進路指導室の窓を見る
やっぱり空はどこまでも青いな



