「いや、私の名前なんて知らないと思ってたから」


「んなわけないだろ。藤堂夏生。名前くらい分かってる」


少し怒り気味に言う一条。


「そう……」


「稜弥って、お前の何?」


「ばっ!」


今私が牛乳を飲んでいたら「ブーッ!!」と吹き出していただろう。


「何なんだよ」


「な、何でもないよ」


「…………あ、そう」


どうも稜弥が気になるらしい。


「そんなに気になる?」


「……別に」



素直じゃないな、こいつ。