いつの間にか握られていた手首は解放されていた。 熱い……手首が無駄に熱い……。 一条の握力がすごかったのかな? それとも……? 「早く入れ」 「あ、ごめん。お邪魔します」 中は、どこも綺麗に片付けられていて、想像通りだ。 「家の人に挨拶しなきゃ!」 「今は両方ともいねえよ」 「そ、そうなんだ……」 それって、この家の中に私と一条しかいないってことだよね? 絶対ないとは思うけど……やっぱりちょっと怖いぞー。 「共働きで、二人とも忙しいから、週末以外はほとんど帰ってこない」