「やっぱよくないんじゃない?
最後はお互い破滅だろう。
旦那にばれたらどうすんだ?」


まだ恭平が不倫をしてるって決まったわけじゃないのに
村上まで、決め付けるようにして
話しを前に進める。


「聞いた話だけどさ・・・
パート先から帰ってこない奥さんのことを
おかしいおかしいって旦那さん、ずっと思ってたんだって。
聞いても『残業よ』って言うばかりでさ。
スーパーのレジ係に残業なんてあるか、普通」


いつもながら村上の話は意味不明。
何の話しをしているのかさっぱり分からず
黙って耳を傾けた。


「旦那さん、興信所に頼んで調べてもらったら、やっぱりだったよ。
そこの店長とできてたの。ひひひ。
相手に慰謝料請求して、離婚するつもりらしいよ」

土井は気になって「おまえそれ誰の話だよ」と突っ込むと、
村上は平然と「ラジオの人生相談で聞いた」と答えた。


「あほか」


「だからよ、恭平、不倫だけはやめとけ。お互い破滅だぞ」


「おいおい村上、
まだ恭平が不倫してるって決まったわけじゃ・・・」


土井の話をさえぎる様にして、恭平が呟いた。


「破滅か・・・俺、それでもいいかな」