どちらからともなく抱きしめあって、自然とベッドに潜り込んだ。
まるで一日の終わりの恋人同士みたいだなんて思いながら。

あたしは片瀬くんの黒髪を指先でもてあそぶ。
柔らかなそれは掌に収まることなくすうっと逃げていって、なんとなくそれがおもしろくない。

「片瀬くん、あたしはたぶん学校辞めると思うよ」


まるで明日の天気は良いといいねとでも言うような気軽さであたしはそういった。

片瀬くんは来たときのような狼狽は見せなかったけれど、それでもやっぱり成長期の細い身体がぴくっと揺れて、あたしを抱きすくめていた腕に力がこもる。