朝起きると、とーこちゃんはいなくなっていた。
そうなると、俺の部屋は全くのいつもどおりで、昨日の夜の記憶のほうが間違いだったかのように思えてくる。
知らず、見た夢なのだろうか、と。
ただ。制服のシャツを身に付けたまま、下半身はパンツだけと言う間抜けな寝起きの格好が、昨日の出来事を嘘じゃなかったと俺に伝えて寄越す。
リビングに行くと、珍しいことに朋兄の姿ももうなくなっていて。
時刻は7時50分。
支度をして8時20分に家を出ればいつもの快速に乗れる。
シャワーをすべきか、朝食を食べるべきか逡巡した挙句、俺は朝食を諦めて、風呂場へと向かった。