あたしはリビングと扉一枚でつながっている片瀬くんの部屋のドアノブを回した。
今日は、夜遅く帰ってきてやる。とにやにや笑いながら朋久先輩は言ってくれたから。時間はたっぷりある。

しっかり、しなきゃ。


自分に言い聞かせて入った片瀬くんの部屋は、相変わらず物が少なくて、きれいで。けど。


「……片瀬、くん?」


いると思った片瀬くんは部屋にいなくて。
なんで?謹慎中に外にいたりして、それが見つかったら……。

ふわ、とカーテンがゆれてベランダが見えた。そこに人影が見えて、なぜだかあたしは片瀬くんが飛び降りるんじゃないかと思えて。