なぜか、とーこちゃんの泣きそうな顔が頭に浮かんだ。
そんな顔、たぶん、俺は見たことがないはずなのに。


くしゃっと、反射的に俺はその紙を握りつぶして、周囲を見渡した。
みられたくない。見せたくない。


けれど、俺はその噂が全くの嘘だとは思えなくて。
そう、思えないことを知っていて。


衝動に任せて、だん!と。
力任せに拳を叩きつけた下駄箱のネームプレートがいびつに歪んだ。