二人で手をつないで店を出て電車に乗りこむ。

混んでいる車内で必要以上にくっついている俺たちだけど、今夜だけは許してほしい。

「ケーキ、いつ作ったの?」

「今日ね、お仕事終わってから作ったから、出来たてです」

今朝、仕事へ出る前にスポンジだけ焼いておいて、帰宅してからデコレーションしてくれたらしい。

恥ずかしそうに、でも嬉しそうに話してくれる彼女は、かわいくて。

握っている手を少しだけ強く握ると、俺を見上げている顔がにっこりとほほ笑んでくれた。

最寄駅で電車を降り、マンションまで手をつないだまま歩いていく。

途中にあるスーパーで、いくつか惣菜を買い込み、店頭で焼いていたチキンも買った。

明日も仕事があるのでお酒はやめて。

そんな風に二人でする買い物も、楽しい。

店を出て荷物を片手にまとめて手をつなごうとしたら、「あっ」と空を見上げた彼女の声。

彼女の視線に釣られて空を見上げると、小さな白いものがはらはらと落ちてきていた。

「初雪!」