お兄ちゃんの気持ち

「ありがと」

カウンターから出てきてエプロンを外してから、俺の隣に座った。

「いただきます」

二人で並んで食事をするのもなんだか変な気分だけど。

「おいしい」

自分の料理を自分で褒めて幸せそうな顔をして食べているのが、かわいい。

年上の女性に対して、かわいいと思うのも失礼なんだろうか。

「うん、いつもおいしいよ」

「え、ありがとう」

正直に伝えると、頬を赤く染めた彼女が恥ずかしそうに笑っていて。

そんなに広くない店内だけど、二人きりの空間に静かな時間が流れる。

「あ、お茶、入れるね」

一通り食べ終わったところで立ち上がった彼女が、カウンターの中でお茶を入れてくれた。

ランチのときに出てくるのはいつもお冷だけど、最近のお気に入りだと入れてくれたのはいい香りのする中国茶で。

温かいお茶を飲むと、口の中がすっきりした。