お兄ちゃんの気持ち

カウンターの中で片付けなのか明日の準備なのか。

まだエプロンを付けたまま動いている彼女の、輝く笑顔で迎え入れられた。

…この笑顔が、好きだな。

どんなお客さんにも同じように向けている笑顔かもしれないけど、なんだかほっとできる瞬間だ。

「ご飯まだだよね?すぐできるから座って」

「ありがとう」

作業する彼女の目の前の席に座ると、手元を見ながら彼女が少しだけ笑った。

「何?」

何か俺がおかしいことをしたのかと思い、彼女に問いかけるけど。

ただ笑っているだけで何も答えてくれない。

あっという間にできあがった料理は二人分あって。

「残りものでごめんね?」

ワンプレートに綺麗に盛りつけられたそれは、色んな種類のおかずと小さなおにぎりにお味噌汁がついていた。

「いや、十分豪華だよ」

家で一度の食事にこれだけの種類のおかずを作るのは大変だし。

女の子が喜ぶんだろうな、と思いながら、少しずつ盛りつけられたおかずに見惚れた。