俺の前に料理を出しながらそんな事を言う彼女に、少しだけ困った顔をしてしまう。

…やっぱ、そんな風に見られていたんだな。

一人で昼を外食することがめったにない俺は、たまにお弁当を持っていない日は若い子に声をかけられたりして一緒に外食することがあった。

そういう時、行く店に困るとよくここへ来ていたんだけど。

「そんなんじゃないですよ」

なんとなく、そんな風に思われていたのも悔しくて愛想のない返事をしてしまう。

「あら、そうなの?彼女にしてはいつも違う女の子だったからもてるんだなーって思ってた」

くすくす笑う椎名さんに少しだけむっとしながら、たまにしか来ない俺のことを見ていてくれたんだと思うと嬉しい。

「彼女とか、居ませんから」

「え?」

ぽつりと本音が出てしまった俺の言葉に驚いた顔をした椎名さんは、はっとしてから忙しく仕事へ戻って行ってしまった。