「あら、浅野君久しぶり」

カウンターの中で忙しなく料理している女の人。

「椎名さん、こんにちは」

数ヶ月前、会社の女の子に紹介されたこのお店は、小さい店ながらもこの女性が一人で切り盛りしていた。

ランチは毎日日替わりで1種類のみ。

それでもおいしいのでリピーターも多いらしい。

夜は一品料理のおいしい居酒屋のようになっていて、俺がはじめて行ったのは会社帰りだった。

「すぐに用意するから待っててね」

席に着いた順にランチを提供している彼女は、俺よりも年上で。

ランチの時間は本当に大変そうだけど、俺が来るときはいつも彼女一人だった。

時々、お友達が手伝いに来ているらしいけど。

若いのに自分の店を持って、一人で切り盛りしている彼女を尊敬してしまう。

ぼーっと彼女の仕事を見ていると、あっという間に用意されたランチ。

「今日は一人なの?いつも若い女の子連れてくるのに」