「お前のせいで全然練習にならなかったよ」

「でも早く帰れたからいいじゃない」

美紀は上目遣いで俺を見た。

「お前…もしかしてそれを狙って…」

「当たり前。今夜は智哉を独り占めにしたかったの」

美紀は恥ずかしいようなセリフを吐いた。俺はもう美紀しか見えなかったし、ドキドキはとまらなかった。

「今から家行ってもいいよね」

「うん」

俺に断ることはできなかった。最高の女の誘いを断れる男はいなかった。

美紀はいい女だ。童貞だった俺は、あの日始めて女を知った。体を重ねたときには、俺はもう美紀を愛していた。もしかしたら、ずっと好きだったのかもしれない。もしかしたら、好きになったばかりだったかもしれない。だが、そんなことはどうでもいい。俺は美紀が好きなんだ。それは確かだ。

俺と美紀は、今は体だけの関係だ。美紀が俺をどう思っているかなんて分からない。分からないけど、美紀は俺を求める。俺は美紀の体が好きだが、それだけじゃない。今夜、美紀に告白しようと思う。

俺にとって、お前は、最高に、大好きな人。