それでも蘭は目を覚まさなかった

面会謝絶になった病室は二人きりの時間が長く感じた

そしてついに、医者からの衝撃的な一言が出た


「このままの状態では回復の見込みはありません。
近いうちに呼吸器は外させていただきます…」

冬になったある日のことだった。

その言葉があまりにも衝撃的でなにも言うことができなかった
なにもできない無力感…

蘭にはたくさん助けてもらったのに
俺はなにひとつ助けることができないのか…?

ただ涙がでるだけだった


「蘭…目覚ましてくれや
俺は…初めて人をこんなにも好きになったんだ
こんなのやだよ…
ありえねーよ…」


握っていた蘭の手を
また強く握った


「蘭のおかげで俺は変われたんだ
もう人を傷つけたりしない
蘭をずっと守っていく
なぁ蘭…頼むよ……
もう一度…花咲かせてくれよ…」


涙があふれた


「死んだら……許さねーぞ…」







12月24日

クリスマスイヴ









蘭の花は一輪残らず枯れていた