**Ran**


「…乱,
まじで蘭のことよろしくね」


「は?」


アヤは続けて言った


「蘭ね,言えないことなんだけど…
小さいとき父親亡くしてるの」


「ッ!??」


俺は立ち止まった

アヤはうつむいたまま言った


「蘭のお父さんとまだ小さかった蘭が二人で買い物から帰ってくる途中ヤクザに絡まれたの
ヤクザたちは蘭のお父さんを薄暗い路地に連れ込んで殴ったり蹴ったり好き放題してお金を奪って行ったの」


「…」


「そのとき蘭のお父さんはなんとか泣きじゃくる蘭を抱いてずっと守ってくれてた
だから蘭は意識を失っていくお父さんをずっと見てた
母親を物心ついてないころ病気で亡くして
たったひとりで蘭を育ててくれてた父親だったから
その後しばらくはショックでなにもできなかったみたいなの
新聞では暴力殺人事件として
大きく取り上げられてた」