そんな顔するくせに何でするの?

『繭って誰とでもやれるの?』
僕は繭に嫌な聞き方をした。

「相手をちゃんと選んでるよオレは」
と繭は余裕の笑みを浮かべていた。

『繭って・・・いくらなの?』

ダメだ・・・

「ん~、その時の気分で全然違う。
平均して・・・50万くらいかな?」

聞きたくない・・・

『ふ~ん・・・繭って高いんだねっ』
僕は無理して普通の顔をつくる。

「そうかな・・・?」

『僕が繭としたいって言ったら?』

何・・・言ってんの?

「・・・うん、稜だったらいいよ。
稜はオレを買ってくれるの?」


やだ・・・

買うなんて・・・


『・・・僕だったらいくらなの?』

「ん~・・・稜だったらそうだね
・・・ん?・・・稜?」


僕の目から涙が零れていた。

自分で訊いて自分で傷ついた・・・

「稜・・・?」

僕の頬に繭の手が触れる。

パシッ――
とその手を無造作に
振りはらってしまった。


その手で顔を覆い、

『ごめん・・・繭。
今日、金持ってない(笑)

一緒にいると押し倒しちゃい
そうだからもう帰るねっ(笑)』


何言ってんだろう・・・

何笑ってるんだろう・・・

辛いよ・・・

辛い・・・