いつだってマーメイド

『山下。今日集会から帰るとき抜け出してたよな?
どこ行ってたん?』


カーンと響く低くも高くもない声が隣からした。

この声の主は涼である。


てかこいつちゃっかり知ってるんだ。説明するのめんどくさいな。

『えっとねー…これには事情があるの。まあ話せば長くなるんだよ。』

『なんじゃあ、そりゃ。』

涼が笑った。

ドキっとした。顔がほてる。体中が熱くなって、動けなくなる。


そう、あたしは涼に恋してるんだ。


それは中学校に入学してしばらくたった日、涼があたしの落としたプリントを拾ってくれた時だった。


『これ、落ちてたよ。』

そのときに涼が魅せた笑顔で一撃だった。


あたしの中で、赤い実がパンっと弾けたんだ。

どこか幼稚で、でもどこか大人びているその一面は誰もを魅了する。