「可愛いだろ~俺の娘と嫁。」


「はい…私2回お2人に会った事があります。」


「えっいつ?」


「えっと、一回目が公園で遊んでいるのを見かけて、2回目は病院で。」


「そうかー綺麗で可愛くて特別目立ってただろう?」


「は…はぁ…」


今日気が付いたこと。先生は奥さんと娘さんにべたボレしてる。


「俺等中学から一緒だったんだ。付き合うようになったのは高校になってから。あいつ、怪我とかよくして俺凄く大変だったんだ。まぁそれも幸せのうちなんだけど。
だから、朱里ちゃんの気持ち分かるよ。大切な人が眠ったままって言う時のこと。

優希穂も…あ、俺の嫁な?優希穂も一度記憶なくして、俺凄い辛い思いした。
でも、それを体験してから何もない普通の日でも大切に思えるようになった。
朱里ちゃんにも分かる時が来ると思うよ。

あっもうそろそろ着くね。
今度、優希穂と俺の娘に会った時は声かけてやってな。
俺の嫁と娘だからめっちゃいい奴だから。」


先生はにっこりとミラー越しに笑う。



「はい」


私もつられて笑った。


それにしても先生のあの奥さんにべたボレは笑えたな…。


しかも凄い過去だったし…!


「今日はありがとうございました。」


私は車のドアを閉める前にもう一度お礼を言う。


「いーよ。また明日も奏くんのとこ来るんだろ?
だったら、また明日ね」


「はい。」


先生はプッとクラクションを鳴らして手を上げて走っていった。