遊女と経営者の恋愛事情-Ⅱ-


―――ガチャ―――


ドアが開く音が聞こえると
慌てて立ち上がりドアの方へと
視線を向けた。


「また泣いてたのか」


そこに居たのは一樹さんだった…。
零れる涙を慌てて手で拭う。


「…ノックぐらい……して下さい…」


「ごめんごめん。またアイツの事考えてたんだな。アイツなら、もう戻って来ないよ」


「………………」


「今頃…他に女が居るかもな……」


「……そんな事……わかりません…」


「だったら……何故連絡すらよこさないんだ?おかしいと思わないのか?」


それは……。


忙しいから………。