star dust

確かに大切な人と聞いて1番に浮かんだのは静だ


けどそれと同時にもう一人,初音も浮かんだ




「なぁお前用事あるんじゃねぇの?」



縁の言葉に時計を見るとここに来て大分時間が経っていることに気付いた



確か今日は夕方から検査があるとかで早く行かないと会える時間が短い日だ



勢いよく立ち上がり話もそこそこに帰ることを告げると『そんなに慌てるなんて余程大事な用なのね』とおかあさんはさぁ話せ,とでも言いたげに手を掴まれた



助け船を求めようにもここにはおかあさんと縁しかいない



終わった…と肩を落とすと『姉貴捜してくれるんだよ』と助け船……いや声がした




「縁!?」


「早く行こうぜ
 でノルマクリアしてくれたまえ」



槍が降るんじゃないかというくらい珍しく,助け船を出してくれ,おまけに俺の背中を押して逃がそうとしてくれている



おかあさんは一瞬きょとんとして『じゃあ今度はゆっくり遊びに来てね』と手を振って見送ってくれた



施設の門をくぐり縁に礼を言おうと振り返ると,いつの間にか縁の手には自転車が握られていた