「いやいやそれ俺のなんだけど」


「礼だと思って大人しくしとけ」


うん,こういう奴だったよなと呆れながらもその一つ一つに今はどうしようもなくほっとする


“あいつ”に会ってすぐとは打って変わり,三人を包む空気は穏やかなものだった


やっと頭が正常に回転し始めたと思うと,とことん俺は初音を中心に世界が回っているらしく,すぐに浮かんだのは初音のことだった



「で,俺このあと用事あるんだけど用は何??」


「あぁそうだったわね」


席を立ち机の引き出しを開けたと思うとピンクの袋が孤を描いた…何かが飛んできていると気付いた時にはペシッと音を立てて俺の顔面に着地した


一瞬白けたこの場だったが余程俺はマヌケだったんだろう


縁が俺を指差しながらゲラゲラと笑いだし,投げた張本人もごめん,と口にしながら笑い始めてしまった


ムッとしながら床に落ちてしまったピンクの袋を手にすると,先程の失態が羞恥となって襲ってきた



「それっ…プレ…プレゼントだからっ」


ツボに入ったのか笑いは止むことをしらない