病院を出たあと,車は家ではなく俺の知らない道を進んでいた
「ごめん」
赤信号で止まった瞬間,とても小さな声で発せられた謝罪に,俺は何も答えることはなく,次の言葉を静かに待った
声のトーンからして,多分看護師の中野さんから俺にバレたと聞いたんだろう
黙ってた事に対しての謝罪なのか,それとも……
「聞いたんでしょう,初音ちゃんのこと」
信号が変わり,車が発車するとともに言葉が紡がれる
運転中だから俺もちゃんと言葉にする
「聞いたってか聞こえた
……心臓病なんだろ?」
「うん,でもすぐにどうかなるほど重いものじゃないよ」
でも口に出さないってことは軽いものでもないってことだろ??
「音緒には言わないでって口止めされてるの
病気のこと知られたら変わっちゃうからって」
ゆうさんと同じような言葉
もし病気のことを知っていたら…俺は初音を外に連れ出したりしなかったんじゃないか?
それが初音の願いでも,知っていたら…?
今でさえ病室からいなくなったら心配するのに,もっと心配して歩き回らないように言うんじゃないか?
「ごめん」
赤信号で止まった瞬間,とても小さな声で発せられた謝罪に,俺は何も答えることはなく,次の言葉を静かに待った
声のトーンからして,多分看護師の中野さんから俺にバレたと聞いたんだろう
黙ってた事に対しての謝罪なのか,それとも……
「聞いたんでしょう,初音ちゃんのこと」
信号が変わり,車が発車するとともに言葉が紡がれる
運転中だから俺もちゃんと言葉にする
「聞いたってか聞こえた
……心臓病なんだろ?」
「うん,でもすぐにどうかなるほど重いものじゃないよ」
でも口に出さないってことは軽いものでもないってことだろ??
「音緒には言わないでって口止めされてるの
病気のこと知られたら変わっちゃうからって」
ゆうさんと同じような言葉
もし病気のことを知っていたら…俺は初音を外に連れ出したりしなかったんじゃないか?
それが初音の願いでも,知っていたら…?
今でさえ病室からいなくなったら心配するのに,もっと心配して歩き回らないように言うんじゃないか?


