star dust

「音緒っ
 来てるのなら声くらいかけてよね−」


ガラッと開いたドアから顔だけ覗かせた母さんは辺りをキョロキョロと見渡し中に入ってきた


『あ−ごめん』と謝りつつもその母さんの行動,そして初音の事へのモヤモヤがまたもや俺を支配し始める



「未緒ちゃん今日はもうお仕事終わりじゃないの??」


「そうよ〜
 でも音緒はこっちに来るんだからそれまで仕事してたの
 なのにみんな『今日くらいは早く帰れ』ってうるさいのよっ
 だから避難してきたの!!」


それであの行動か…


って何全てを疑ってかかってるんだ俺は


“初音の前ではいつも通り”それが俺に出来ることだって,思ったはずなのに


初音の気持ちを無視することになっても,やっぱり全てを知りたい,理解したいと思うことは間違ってるんだろうか



「じゃあ二人とも早く帰らなきゃ!!
 お祝いするんでしょ??」


「うん!
 もう気合い入れまくりよっ」


「よかったねっ音緒ちゃん!」


振られた言葉に咄嗟に返事が出来ず,笑うだけに留めた


口を開けばどんな言葉が出るのか


それが怖くてそのあとも俺は帰るまで上手く話すことが出来なかった