star dust

確実に翠さんのおかげ


俺は何も出来なかった


ガキの頃からずっと見−…


パンッ


乾いた音が響き,携帯が目の前に現れる



「鳴ってるよ」


静が手を叩いたらしく,我に返った俺は慌てて携帯に手をのばす


電話かと思った着信音はメールのもので,相手は…母さん


仕事中だろうに…とメールを開くと,たった一言【今日は7時以降に来て】


7時以降ってめちゃくちゃ話す時間少ないんですけど


【何で?】そうメールを送ろうとして,今月はまだ定期検診がなかったことに気付いた


よりによって今日かよ


無意識に肩を落として【わかった】と打ち直した



「音緒変わったね」


「は?」


まさか静から言われると思ってなかった言葉に,俺は素直に驚いた



「この頃穏やかっていうの?
 何かオーラが優しい」


…まぁ言いたいことは分かる


俺が静に対して思っていた変化を静も俺に感じてたわけだ


ひょいっと俺の携帯を取り上げ,にっこり微笑み携帯を揺らす