「ありがとう!
 最後の一言は余計だけどっ」


でも『いつも貰ってばっかだな』と呟く初音


貰ってばかりは俺のほうだ


初音の笑顔


それは何よりのプレゼント


明日も頑張ろうって


今までは見えなかった光を見せてくれる



「初音は初音のままでいてくれよな」


「…どうしたの急に?」


立ち上がった初音をガタンと揺れた拍子に抱き寄せた


何故か


それは…



「ちょっお前何立って…うわぁっ」


「音緒ちゃん顔真っ青…?
 もしかしてっ」


「「高所恐怖症…」」


もう治ったと思ってた


だってさっきまでめちゃくちゃ大丈夫だったよな


やっぱ揺れるのが駄目なのか?


ふわっと香りが鼻を掠めた



「怖くないようにっ」


手を解き,俺の横に座り直した初音はギュッと抱き着いた


生意気,と言おうと思ったのに


出ていった言葉は『ありがとな』だったことに自分が驚いた


結局,俺達は地上に下りるまで肩を寄せ合っていた


怖いから…なんて途中から忘れて


ただその空間がとても心地好かったから