ふわっと笑った日下部院長は初音の事を話してくれた



「初音…ちゃんが病院を出たことがないのは俺のせいなんだ
 俺が外に出ないよう言ったんだ」


院長が…??


何でそんなこと…



「外に出たら同じ歳くらいの子供がいるだろう
 そうなるとやっぱり羨ましくなって走り回ったりしたくなるんだ
 けど初音…ちゃんは走ったりはあまり出来ない
 外の子と自分を比べてしまう
 そんな悲しい思いをさせたくなくて初音…ちゃんを外に出さなかったんだ」


『まぁ外に出られるような体調じゃなかったのもあるけど』と付け加えた


院長が凄く初音を大切に思ってることは分かった


初音は人にそう思わせられる子なんだと思った


けどそうじゃなかったんだよな



「今は香川さんと音緒くんがいるからか体調がいい
 君がついていってくれるなら許可するよ」


「ありがとうございますっ」


気付けば立ち上がって頭を下げていた


初音が外に行ける


涙が出そうなくらい嬉しかった


願いが叶うんだよ初音