今現在,俺はふかふかのソファーに座ってお茶を飲んでいます


目の前にはかっこいい,笑顔の日下部院長


遡る事数分前…


『お話があります』と入っていくと,日下部院長は驚きながらも俺を通してくれた


用件を聞かれて『桜井初音の事』だと言うと,途端に笑顔になりお茶を注いでくれ,今だ



「初音ちゃんの事とは何かな」


「あ…あの」


話を切り出したと同時に表情が変わった


今更,俺は明らかに場違いな所にいて,無謀な頼みをしにきたことに気付く



「初音の外出を許可してほしいんです」


駄目元だと,思いきって日下部院長に聞くのだけれど


日下部院長はしばらく考える様子をみせ,じっと俺を見た


反らすに反らせなくなった目はそのままにし,意識だけ反らす



「君の名前は確か…音緒くん」


「は…はい」


「初音…ちゃんが今まで外出したことないのは知っているね
 …外出に音緒くんはついていってあげられる?」


思ってもみない返事だった


咄嗟に声が出ず,首を何度も縦にふった