しばらくして落ち着いた母さんは,箱を開けて笑みを零す



「音緒の選んでるとき私も欲しかったんだぁ」


少し見栄を張ってのカシミアの白いマフラー


プレゼント選ぶってのは結構大変で苦労した


実が千香にプレゼントを買うっていうから一緒に行ったんだけど…


友達としてはいいんだけど,千香みたいな彼女は絶対嫌だと思ったね


彼女にするなら俺は…と思った時に浮かんだ顔は−…



「じゃあそろそろ行こうか」


母さんが時間を確認して席を立つ


この時のちょっとした行動に意味があった事,俺はもうすぐ知ることになる



「初音ちゃんメリークリスマス!!」


病院内では静かにしましょうと言う立場にあるはずの母さんが,子供のように初音の病室に入っていった


効果音をつけるなら『ばばん』だな



「未緒ちゃん来てくれたの−!?」


「俺もいるけど?」


初音の嬉しそうな声が母さんに向けられて少しムッとしたからか,拗ねたようなトーンになったのが自分でも分かった